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体験談6(Iさん)

介護休業を1年取得し、自ら認知症について学ぶことで、自分と家族を守る

【プロフィール】

●性別・年齢:男性・40代
●勤務先の事業内容:電気機器メーカー
●従業員規模:1,000人以上
●職務:事務職
●家族構成:配偶者なし
●父(同居)
●兄弟姉妹:兄(別居)
●居住地:東京都
●介護歴:5年半

【要介護者の状況】

●性別・年齢:女性・80代
●労働者本人との続柄:本人の母親
●要介護度:要介護5、認知症
●居住地:東京都
●利用した介護サービス:
在宅時に配食サービス、デイサービス、のちに認知症対応型グループホーム

1.介護の状況

  • それ以前も母は認知症の兆候がありましたが、明らかにおかしいと感じたのは5年半程前です。腰を痛めてから寝込んでしまい、何もしなくなりました。病院で診断を受けたところ、認知症でした。母が76歳の頃で、介護認定により要介護1でした。その頃から、私と父とで家事全般をやるようになりました。
  • 介護が始まった当初は、自分でできることも多かったため、利用した介護サービスは私が仕事に行っている間の配食サービスくらいでした。
  • 介護が始まって3年位経過した頃、母の様子がおかしいと感じることがさらに増えたため、地元の内科ではなく、近くの専門医を紹介してもらいました。
  • 父は母の様子を多少おかしいと思いつつも、出かけることも多く、平日は母が1人で過ごすような状況が続きました。
  • その後、母の症状が悪化し、徘徊して家に帰って来られなくなることが増え、1年半前からデイサービスに通うようになりました。その頃は要介護3になっていました。
  • 母がデイサービスに通うようになってからは、会社の有給休暇を取得し、週3日位の勤務にしてもらいました。
  • 上司と相談し、仕事と介護を両立する体制を整えるため、2015年10月から介護休業を1年間取得しました。これは、法律よりも手厚い会社独自の制度で、休業中は病気の治療方法についての情報収集や、母の施設を探すことに利用しました。
  • 休業に入ってから4か月後の2016年2月に、認知症対応型のグループホームに運良く入所できました。しかし、母の症状がひどく、利用者や利用者の家族にも迷惑をかけることがたびたびあったため、退去した上で入院することを勧められる可能性があると思い、不安な状態がしばらく続きました。母の治療方法を探るため、自分自身が認知症について勉強し、知識を得て1から病院選びをする等、休み中に何とかしたいという思いがありました。
  • 2016年4月に母に合う病院を見つけることができました。その頃に要介護5になりました。治療を進める中、8月頃に症状の改善の兆しが見え始め、復帰直前の9月にようやく、グループホームに預け続けることができる目途がつきました。
  • 1年間の休業を経て、仕事に復帰した現在は、職場からの帰路で母の施設に寄り、実際に母に会って様子を確認し、相手をするとともに1日の母の様子を介護士さんに聞いています。月に1回かかりつけの医師に母の症状を伝え、薬をもらいに行っています。

2.会社の勤務状況と両立支援制度の利用状況

  • 休業開始前の2か月間は、引継ぎのため有給休暇を取得し、週3日の勤務(デイサービス利用期間)
  • 介護休業(会社の制度で法定以上の1年取得)
  • 復職後は時間単位の有給休暇(母のかかりつけ医に受診に行くため)

3.仕事と介護を両立できた理由

  • 会社独自の介護休業制度があったことは、運が良かったと思います。また、制度があっても利用できないという話も聞きますが、当社はそういったことはなく、会社の就業規則で制度を知ったうえで、休業制度を利用しました。母の症状が普通ではなかったため、一旦休んで落ち着いて体制を整えたかった私にとって、とても有難い制度でした。
  • 休業取得の1年位前に上司に母の状況を相談したところ、同じグループのメンバーにもきちんと伝えてくれたため、忙しい部署ではありましたが、休暇取得がしやすくなり助かりました。
  • 休業前の職場はチームで行う仕事だったため、休暇を取得しても、自分がいなければ仕事が回らないということはなく、私以外にも業務内容を知っている人が多くいたのは心強かったです。また、自分自身でも、突発的な休みに備えてマニュアル作成や、なるべく自分で仕事を抱え込まないよう見える化し、私以外の人に業務内容を伝えることに心掛ける等、準備はしていました。週3日勤務の2か月間で、他のメンバーへの引継ぎを行いました。
  • 休業中に母に合う治療をしている病院に巡りあうことができ、様々な治療を試したことで、症状が改善し、だいぶ落ち着いたことから通常業務に戻ることができました。
  • 復帰してからは残業のないグループに配属させてもらったため、帰宅途中で母の施設に寄って様子を見に行くことができ、助かっています。
  • 会社独自の時間単位の有給休暇制度があるため、現在も病院の受診の際に利用でき便利です。
  • 現在のグループホームは、主治医についても柔軟な対応をしてもらえるため、助かっています。
  • 母と同居をしていたため、私が基本的に主たる介護者ですが、数か月に1回は兄も一緒に母の様子を見に行ってくれます。兄は私が無理をしないよう気遣ってくれるため、心強いです。

4.仕事と介護の両立の際の苦労

  • 認知症の場合、突然いなくなってしまうことがあるため、常に誰かが見ておかなければならない苦労がありました。
  • デイサービスを利用しましたが、10時半位にお迎えが来て、15~16時には帰ってくるため時間が短く、自分で対応しようとすると、短時間勤務でも難しいと思います。母が通い始めた際には私は週3日程の勤務だったことから、デイサービスは私が自宅にいる日にお願いしており、お見送り・お迎えは私が対応していました。
  • もっと長い時間預かってくれるデイサービスもありますが、母との相性もあるため時間だけで選ぶわけにはいかず、その点は難しいです。
  • 介護休業を取得することで、ある程度介護の体制が整えられたことは良かったですが、法定の93日(※1)を超えた分は無給だったため、貯金が減り経済的に厳しくなるのは精神的に辛かったです。
  • 現在は残業のない職場ではありますが、会社が力を入れている分野の業務であり、仕事を任される年齢でもあるため、やりがいがある一方、それなりに責任が重く負担にはなります。

5.介護者へのアドバイス

  • 介護はストレスが溜まります。介護者のネットワーク団体もいろいろあり、私は介護休業中には月に1回、介護者の集いに参加していました。情報交換をしたり、話したりすることでお互いの苦労を分かち合え、楽になることも多いです。そういった場に参加することをお勧めしたいです。
  • 認知症については、未知の部分も多く、治療によって回復度が変わると考えています。治療が本人に合っていなければ悪くなるケースもあり、そうなると寝たきりになってしまったり、寿命が縮んでしまったりするため、その後の患者や家族の人生に大きな影響を与えることになります。私は薬や治療方法について、家族が先生ときちんと対話できるような知識を持つことが大事だと思っています。
  • 認知症において、病院選びは非常に重要です。私は母になるべく元気で長生きし、できる限り寝たきりにはなって欲しくないという強い思いがあり、セミナー等に積極的に参加して情報を収集することで、母に合った今の治療法を行う病院に巡りあうことができました。

6.あると良かった制度やサービス

  • 休業前の私の状況から、会社の介護休業制度の利用は最善だったと思っています。しかし、休業前の職場が長時間の労働環境でなかったならば、介護休業制度を利用しないで認知症について調べる時間や心の余裕があったかもしれません。現在は世の中の動きもあり、当社も残業をしない風潮になってきています。要介護者の状況にもよりますが、在宅勤務という制度があれば仕事と介護を両立する上で有効だと思います。働き方改革は仕事と介護の両立においても重要だと感じています。
  • 事前に仕事と介護の両立に関する情報を全く知らなかったため、調べるためにまず休まなければと思っていました。そういった情報を事前に仕入れることができたら、介護が起きたときに、まず何をすれば良いかが分かったと思います。また、私はデイサービスのお見送り・お迎えをヘルパーに依頼できることも知らなかったため、自分でやるしかないと思っていました。ケアマネジャーによって得られる情報の違いもあります。自分で調べるには限界があるため、企業での事前の情報提供やセミナー等があれば良かったかもしれません。

7.1日のスケジュール(例)

<週3日勤務時>

<介護休業中(グループホームに入るまで)>

※1 介護休業を取得する場合、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。
詳しくは「介護休業中の給与」をご覧ください。

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