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コラム

介護休業制度を上手に利用して仕事と介護の両立を!
~2017年施行改正育児・介護休業法を活かすために~

グラース社労士事務所代表 特定社会保険労務士 新田 香織

平成28年度取材

育児・介護休業法では労働者が介護をしながら働くために利用できる制度を規定しています。しかし、どういう制度を介護のどの場面に利用することを想定して設けられたのか等についてはあまり知られていません。
今後ますます仕事と介護を両立する人が増え続けていくなか、制度を真に活かすために、本コラムでは介護休業制度の意味と、2017年1月1日に改正された育児・介護休業法の制度の内容や利用法についてわかりやすく解説いたします。

■介護休業制度(法第11~15条)について

[本来の目的]
平均的な介護期間は45カ月程度と言われていますが、育児・介護休業法で規定している介護休業期間は93日です。つまり、介護休業期間は、介護期間をカバーしているとは言えません。それは、介護休業は、介護が必要になり、介護の体制を整えて職場復帰できるまでの準備期間を想定しているからです。すなわち育児休業と違って休業期間に介護をすべて自分でするのではなく、介護に関わる人たち(親族、医師、看護師、理学療法士、ケアマネジャー、ヘルパー、行政担当員、施設職員等)と連携を図りながら、介護体制を構築する期間として捉えるべきなのです。しかし誤った認識により、現実には休業期間中に介護を一人で集中的にしてしまい、休業期間の終了時点で復帰できなくなるというケースが多々生じていますので、介護が必要になった時には、介護休業の利用と同時に、他の制度の利用も検討してみてください。

※法改正により、期間雇用者の介護休業取得の要件が緩和され、取得しやすくなりました。

詳細はこちら

■主な法改正になった事項(柔軟な働き方に関すること)

●介護休業の分割取得の利用(第11条、第15条1,2
改正前 現在
対象家族1人につき、通算93日まで原則1回まで取得可能 対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として、介護休業を分割して取得可能

[解説] 2017年1月から介護休業が3回まで分割して取得できるようになりました。

法改正前は、同一の要介護状態の期間に1回のみ休業することが認められていたのですが、介護休業を分割して取得できた事業所では、分割できなかった事業所と比較して継続就業率が高いこともあり、分割取得ができるように法改正されたという経緯があります。
(利用例)介護の段階に応じて、介護休業を3回に分けて取得する。

 

●介護休暇(第16条5,6)
改正前 現在
1労働日単位での取得 左記に加え、半日単位での取得も可能

[解説]対象家族1人につき年5日、2日以上の場合は年10日休むことができ、状況が続く限り毎年その権利が発生します。法改正前は1日単位での利用でも良いとされていましたが、現在は、半日単位での利用もできるようになっています。半日単位で利用すれば、対象家族1人なら年に最大10回の利用ができます。

※会社の規定により、休んだ時間分は無給の場合と有給の場合がありますので、利用時は確認してください。

(利用例)介護休暇を毎月1回半日取得し、ケアマネジャーとの打ち合わせをする。

 

●所定労働時間の短縮措置等(第23条)
改正前 現在
対象家族1人につき、介護休業期間と通算して93日の範囲で取得可能 事業主は介護休業とは別に、対象家族1人につき、利用開始から3年間以上の期間で、2回以上の利用が可能な措置を講じる

 [解説]

所定労働時間の短縮措置として、事業主は次のいずれかの措置を講じることが義務になっています。

・短時間勤務制度
(所定労働時間を減らす、労働時間は変えずに所定労働日数を減らすなど)
・フレックスタイム制度
・始業時間の繰上げ、終業時間の繰り下げ
・介護サービスの利用の費用補助など

※利用できる制度は会社によって違いますので、利用時は会社の規程を確認してください。

所定労働時間の短縮措置は、法改正前は介護体制を構築するために、介護休業期間と併せて93日の範囲としていましたが、近年増えている認知症など、介護は先の見通しが立たないケースが多いため、介護体制を構築した後も、何らかの措置を講じなければ仕事と介護の両立は難しいと考え、現在は介護休業とは別に3年間以上の期間で2回以上の利用が可能な措置を講じることとなっています。

(利用例)金~日曜日、遠方に住む親のもとに帰省するために、週の所定労働日数を減らして金曜日を休みにする。

 

●所定外労働の制限(第16条9)
改正前 現在
定めなし 所定外労働は免除

[解説] 残業は免除するという制度で、利用期間に上限はありません。現状では残業が多く、定時に帰宅することができない環境で働く労働者が多いのですが、介護をしながら継続就業している労働者の職場では、介護離職した労働者の職場に比べ、残業時間が少ないことが調査からも明らかになったため、新たに事業主の義務となりました。

(利用例)日中、介護をしている家族の負担を減らすために、定時で帰り、介護に関わる。 

 

【介護休業の分割取得等による両立のための働き方の工夫】

介護休業を利用して、日中の在宅介護が可能になる体制を整えることができれば、職場復帰しながら介護することが可能になります。また、その後在宅介護から施設への入所準備や看取り等でまとまった期間が必要になれば、再び休業を取得することもできます。この様に、介護は休業を利用して一定期間休んだり、手続きや突発的な事態への対応、ケアマネジャーとの打ち合わせ等で数時間~1日程度休むことが考えられます。また、状況によっては、所定労働時間の短縮措置を利用する場合もあります。その間、業務が円滑に行われるようにするために、普段から働き方を次の様に工夫してみてください。

[仕事の進め方・体制]

・業務の進捗状況や対応法等を誰が見てもわかる様にしておく。
(業務のマニュアル化、共有化)
・計画的に業務をすすめ、定時で帰ることができる日を増やす
・時間を有効に使うために、業務の目的、納期、精度を明確にしたうえで仕事を進める
・省略できる作業、効率化できる業務はないか検証する
・業務ごとにかける時間を的確に見積もり、労働時間の管理を徹底する
・互いにフォローできる体制(多能職・多能工や複数担当制)を作る
・私生活の状況もチーム内で共有し、協力しながら働く
・在宅勤務制度があれば積極的に利用し、在社しなくても働ける環境を作る

 

■その他 法改正になった事項

●対象家族の定義
改正前 現在
配偶者、父母、子、配偶者の父母
祖父母、兄弟姉妹、孫・・・同居かつ扶養していること
配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫

[解説] 法改正により祖父母、兄弟姉妹、孫の「同居」と「扶養」の2要件がなくなりましたので、現在は対象家族であれば介護に関する制度の利用ができることになっています。つまり、親の介護だけでなく、若い世代が祖父母を中高年世代が自分の兄弟姉妹を介護するために利用することもできます。

 

●「常時介護を要する状態」の判断基準
改正前 現在
・厚生労働者が示す判断基準の表に該当 ・厚生労働者が示す判断基準の表に該当
または
・介護保険制度の要介護2以上の状態

[解説] 改正前は厚生労働者が示す判断基準の表に参照して、常時介護を要する状態か否かを判断していましたが、現在は当該表に該当または介護保険制度の要介護2以上の状態でも常時介護を要する状態として判断することになっています。

詳細はこちらにてご確認ください。

 

●不利益な取り扱いの禁止、ハラスメントの防止措置義務(第10,16,25条等)
改正前 現在
介護休業等の申出・取得等を理由とする不利益取扱いの禁止 左記に加え、事業主は、職場における介護休業等に関するハラスメントの防止措置を講じることが義務化

 [解説]法改正前は、事業主は、労働者が介護に関わる制度の利用や、利用の申出を理由とした解雇、雇用形態の変更等の不利益な取扱いをしてはいけないと規定されていましたが、制度利用がしやすくなるように、現在は、職場で共に働く上司や同僚が制度の利用を阻害する様な言動(非協力や、繰返しの嫌味など)が生じない様に、事業主は周知、研修、相談窓口設置等を行う義務があることも指針に明記されています。つまり仕事と介護の両立をしやすい風土をつくることが重要ということです。

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